「 京の手づくり 」 大村しげ
京の手づくり 著者 大村 しげ 講談社 昭和49年
ーーーーー 本書「 はじめに 」 より ーーーーー
(前略) これらの方々が、日夜、淡々とご自分のお仕事をつづけておられるのに、わたしは頭が下がりました。
わたしたちの暮しを支えていてくださるのは、実は、こうした市井の当たり前の方々なのです。
それがうれしいて、わたしも一生懸命書かしていただきました。
※ 表紙イラスト 味戸 ケイコ ※
著者「 大村しげ 」(大正7年生~平成11年没)は、京都生まれ。
随筆家としては、京都の生活習慣を、優しくユーモラスのある(京ことば)で綴られています。
その大村さんが、京都の職人さんたちを取材してまとめたのが、この一冊。
目次(一部抜粋)を目にしただけで、本当の「 和の暮らし 」が、目に浮かんできますね・・・・・!
※ 京人形では「 伏見人形 」と「 いちまさん 」が、紹介されています。※
「京の手づくり」が出版されたのは、昭和49年(1974年)。
本作に登場する職人さんは、伝統工芸とは違う(市井の職人さん)たち。
若手の方も取り上げていますが、多くはその「職」に生きた、ご年配の方々です。
明治~大正に生まれた「 職商人 」さんから=(現役)のお話を伺えたのは、
この時代が最後だったのかもしれません。
大村さんは「 京都の他は、どっこも知らない 」生粋の京都人でしたが、晩年はバリ島に移住。
車椅子で京都との往復を繰り返し、リハビリ生活の傍ら、婦人誌へ寄稿を続けました。
大村さんの没後、京都のお住まいは「 ギャラリー兼アトリエ 」として、一般開放される事になり、
捨てない生活から残された、膨大な「物」は
暮らしの資料 (大村しげコレクション) として寄贈され、研究が進められています。
大村しげさんの「暮らし」と「晩年」。
これからの日本人にとって、ひとつの指針となっていくのではないでしょうか。
ーーー 本書(あとがき)より ーーー
ほんとに、どちらを向きましても、親切にしていただきまして、うれしゅうございます。
重ねて、お礼を申し上げて、筆を納めます
大村さんが敬愛した「 京の手づくり 」
その根底にあるものは、( 食 )と( 物 )を通した感謝の気持ち。
職人さんを初めとする、全ての人々への想いを伝えるには
( はんなりとした京ことば )が、最もふさわしいような気がします☆★